 
| 【作品情報】 呼び出された殺戮者 著者:井戸正善 挿絵:lack レーベル:HJノベルス ▼評価を表示 私的評価:A+ |
幼少から様々な武道を修練してきた遠野一二三(とおのひふみ)は、
ある朝、稽古中に異世界へと旅立つことになった。
平和な現代日本において、鍛えてきた様々な技を発揮する機会にも恵まれず、
腐らせていることに不満を感じていた一二三は、
魔物が跋扈し人間同士の争いもある世界だと聞いて
喜んで異世界で生きていく事を決める。
ここでなら自分の鍛えてきた人を殺す技を存分に発揮できると。
人間の限界まで鍛えた武技と、苦もなく人を殺せる歪んだ倫理観を持った、
恐ろしい男が異世界へと解き放たれた――。
※公式サイトより
◆総感◆
こ れ は ひ ど い ; (全力級の褒め言葉
現代日本の高校生が異世界に勇者として召喚される…といういつもどおりの基本骨子。
なのだけど、その勇者サマが多数の武術を極め、殺人欲求を内に秘めているという
超危険人物だったと言うのだからもう物騒極まりない予感しかしないな!
事実、召喚の際に現れた死神を殺し、召喚した異世界の王女様には刀を突きつけ、
それを見て一二三を殺そうとした近衛騎士×6を殺し返し、
勇者召喚を企てて上から目線を崩さない王様の首を刎ね飛ばし、
当座の資金として国庫から半分程をぶん捕っていく…と、
自分で書いててドン引きするレベルの凶悪っぷりに乾いた笑いしか出てこない;
とりあえず僕は一二三が高校生というのが一番信じられないよ色々な意味で(尤も十八歳という表記があっただけで高校生とは明示されてなかった気もするけど;)
と、これだけ書くとただの狂人シリアルキラーにしか見えないのだけど、
実際の所、この遠野一二三というキャラはそんなに嫌いじゃないんだよなぁ。
というかキャラとしてはむしろかなり気に入ってる部類。
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一般的な倫理観なんて一二三の前では無意味だけれど、
それでも誰彼構わず殺してるという訳ではなく、
一二三の中での基準──犯罪者と、一二三と明確に敵対した相手──のみが対象であり、
大抵の場合その対象というのは録でもない連中なので、
ある種の痛快ささえ覚える部分があるんだよね。
あんまり痛快とか言うと僕の倫理観も疑われそうだけど
先に書いたとおり、召喚された直後も王女様についてだけは殺してないし。
加えて、これで結構飄々としているというか、しれっとしているというかな性格で、
これがまた見てて妙に可笑しいんだよねぇ。
国王を殺した人物なので国としては放って置く訳にはいかない、
けれど国の保有戦力を全て投入しても一二三に敵わない事は明白、
故に秘密裏に監視をつけて──るのだけど一二三にはバレバレで、
その監視役に「よう、最近どうよ?」的なノリで普通に話しかけてたり、
監視役も途中から諦めて堂々と一二三と話すようになってたりとか、
周りがなし崩し的に一二三のマイペースに巻き込まれる展開が面白い。
まあね、王様殺したその国でね、
「冒険者ギルドは登録は誰でもできるんだろう?」
「はい。銀貨五枚の登録料が必要ですが、犯罪歴が無ければ……」
「じゃあ、大丈夫だな」
なんて事をしれっと言ってる主人公だからね、仕方ないね。
でも殺した盗賊使って人体についての青空教室開くのはさすがに引いたけれど
異世界の常識に迎合しようという気もさっぱりないしなこの主人公は!
刀振り回したりオーダーメイドで普段着の道着作成…くらいはまだしも鎖鎌て;
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物々しすぎるタイトルで、それに違わぬ内容ではあったけど、面白かった!
基本のテンプレを踏襲しつつも、主人公が主人公なだけに、
何をやらかすかわからない先の読めなさが面白いんだよね。
一二三自身も面白いしただそれだけに、言ってしまえば「一二三が気に入るかどうかが全て」な所もあり、
その上で、良い意味でも悪い意味でも「まともな主人公では絶対にない」ので、
確実に好みの分かれてくる作品ではあるかなぁ。
後はWeb小説書籍についてまわる問題として仕方のない部分でもあるのだけど、
一巻としては少々まとまりが悪い所で終わってるのも若干気になるかな;
一二三の預かり知らぬところで「細剣騎士」なんて異名が付けられてるみたいだけど、
どう考えてもそんな小奇麗なキャラじゃないよなぁ;
僕は(勝手に)ぼーぱるひふみーとでも呼ばせてもらお(ry
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学